2013年9月5日木曜日

【演奏会鑑賞記】 第四回 花鳥の会

NHK邦楽技能者育成会第54期の卒業生の有志で結成された「花鳥の会」の演奏会へ行ってきました。昨年12月に久留米で行われたコンクールの際に知り合って、その後フェイスブックで交流している箏奏者神谷舞さんからお知らせをいただいたのです。
会場は、家から徒歩5分の「すみだトリフォニーホール」。


NHK邦楽技能者育成会、昔憧れていましたねぇ。卒業演奏会はNHKホールで行われ、その模様はNHK-FMで放送されるのですが、20年以上前かなぁ、たまたまそのFMを聴いて、純粋に「カッコイイ!」と思った記憶があります。
残念ながら55期をもってNHKはその事業から撤退してしまいました・・・

さて、今日演奏されたのは5曲。

沢井忠夫作曲『風衣』
牧野由多可作曲『茉莉花(むいか)』
栗林秀明作曲『十七絃二面の為の一章』
小野衛作曲『箏二重奏のためのソナタ』
長谷川恭一作曲『遙かなる道』

いわゆる現代邦楽です。歌曲はなく、器楽曲のみでした。正直、そこはちょっと残念。

10名の方が出演されていましたが、生田流7名、尺八1名、そして山田流が2名!
山田流のお一人は、私が藝大助手勤務後も所用でちょくちょく行っていた頃に別科に通っていた方。私の事を覚えていてくれてうれしかった。
もう一人は男性。男性の山田流とは珍しいと思い、終演後声をかけた所、彼は私の事を知っていました。この方、「『山田の爪で現代曲は弾けない』という周りの概念を覆したい」と。その通り!!
私も同じ考えなので、とてもうれしく、頼もしく思いました。

今日の演奏会で一番印象に残ったのは、最後の曲。
長谷川恭一作曲『遙かなる道』
箏Ⅰ 赤沢大希さん
箏Ⅱ 馬場千年さん
箏Ⅲ 平野寿里さん
十七絃 神谷舞さん

赤沢さんと馬場さんが山田流。

藝大の前学長平山郁夫先生が奈良の薬師寺にお描きになった、玄奘三蔵がインドへ出発する明け方、長安に飛ぶ雁の様子の壁画をイメージに作られた曲だそうです。
とても綺麗で分かりやすく、心に沁みる旋律の素晴らしい曲でした。
しかし、その曲の良さもさることながら、4人の方の技術の高さ、表現力、そしてアンサンブルとしての完成度の高さは秀逸でした。そして、何よりも、その曲に対する意気込みと愛情がひしひしと伝わってきました。久々に心を動かされた演奏でした。



過激な意見かもしれませんが、年齢がいっているからいい演奏ができるか?といえば、決してそうではない。偉い先生だから演奏もいいか?といえば、残念なことに、これもそうではない。
なぜか?

「やっつけ仕事」は絶対にダメ!
芸術に携わる者が権力を持つと、それは芸術ではなく、エゴになる!
大切なのは古典を守る意識と技術、そして心。

その年代年齢でできる、精一杯の演奏を、心をこめて丁寧にすれば、それは最高の演奏です。



おーっと、あまりに演奏がよかったので、その後のお酒がことのほか進んでしまい、余計な事を書きそうなので、今日はここまで。

54期卒業生の皆さん、今日は感動しました。同じ邦楽を愛する者として、頑張っていきましょう!



武藤祥圃HP



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