2019年9月8日日曜日

がんばったね、箏曲部!

新潟県の新発田(読めます?シバタです)市にある高校の箏曲部の指導に行き始めて4年目になります。

毎年この時期に「新潟県高等学校文化連盟日本音楽部門」の発表会というかコンクールがあるのですが、今年は先週の木曜日5日でした。厳しい指導で優秀賞を狙い、全国大会(高校の全国総合文化祭出場)を目指すか、または生徒の自主性に任せ、無理のない範囲で箏を楽しみ、こちらはそのサポートをするのか。指導する立場としては大変悩みます。
本当に難しいんですよ。

でも一番大切なのは、「生徒はどういう活動を望んでいるのか」だと思うのです。

偏った考えというか、偏見もあるかもしれないのですが、お辞儀の仕方、演奏の準備、演奏の仕方など、文字通り「一糸乱れぬ」動きで、音のズレもなく、強弱も完璧。こういう演奏をする高校が特に全国大会などを見ていると多くあります。確かに端から見たらかっこよくは見えますよね。でも私、こういう機械みたいな団体を見るとゾッとして鳥肌が立ちます。私自身がそういう教わり方をしていないし、そんなんでは本当に良い演奏はできいからです。

これがね、全員が「藝大を受けたい!」とか、「プロの演奏家になりたい!」という意思を持っている子たちであれば、この道で生きていく苦労を教えるためにも、そして何よりも音楽性や曲を解釈する力、テクニックを身に着けさせるために死ぬほど練習させますよ。

ただ、部活なんですよね。

そりゃ、全員が「何が何でも優秀賞をとって全国大会に行きたい!」という願いを持っていたとしたら、それなりの指導はしますよ。

だから毎年年度初めに生徒に考えさせます。

週に2回の活動、勉強が忙しい。就職する子はその準備もある。人数が少ない。(この高校ではそれが一番のネックなのです。)そういう状況で、どういうスタンスで活動していくのか?
厳しい練習に耐えてうまくなり、全国大会に出られるようなレベルになりたいのか?
全国大会などは考えず無理なく練習し、箏をある程度弾けるようになりたいか?

この4年間では後者ばかりです。

でもこれで決して手を抜いた指導するということではありません。
それどころか、人数の少ないこの高校の部活で、私の指導で生徒に求めるレベルは高いし、要求する事柄は厳しいと思います。それをその年ごとの生徒はそれを解釈し、努力し、ひたむきに音楽と向き合っています。

それが重要だと思うし、将来「また箏が弾きたいな~」と思わせることにもなると思うんですよ。

今年は2年生、3年生が1人ずつで2人。2人とも箏を始めて1年も経っていません。演奏した曲は「三段の調」。2パートある曲なので、1パート1人。
箏を始めて間もない2人が1曲を暗譜で弾ききる、というのは相当のプレッシャーであり、緊張も半端ないと思います。
しかし、本番は今までで一番良い演奏だったと思います。細かいアクシデントはありつつも、舞台上で二人で解決しながら最後まで演奏しました。
舞台の袖から後姿を撮影。



10校が出場し、4校が優秀賞、6校が奨励賞。そして優秀賞の中から来年の全国高等学校総合文化祭出場の1校が選ばれました。指導している高校は奨励賞。そりゃどうやったって大人数の大合奏には敵いませんよ。だって“映え”ないもん(笑)


しかし、5人の審査員からの講評はとても嬉しいことが多く書かれていました。
具体的なことは書きませんが、私が生徒たちに習得してほしい、感じてほしいと思って普段指導していることが表現できていて、それが審査員に伝わってる内容でした。
また10校中山田流はここだけなので、生田流とは違う音の立ち上がりについて高評価もありました。

生徒たちの次の目標は、国民文化祭で県下の箏曲部が合同で演奏する「六段の調」。春から継続的に練習はしてきましたが、これからは本腰を入れて。


ただ、兎にも角にも新入部員をかき集めてくれ~。そして来年新入生を引き入れてくれ~。でないと、来年のこの大会、ソロだよ(笑)


それでは皆さまご機嫌よう。






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