2012年4月9日月曜日

【日常】 桜満開

東京は現在桜が満開です。今日の最高気温は22度だそうです。
桜が咲くと、どうしてこうもソワソワしてしまうのでしょうか。

世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし  (『古今和歌集』の在原業平の歌)

この世の中に、桜がまったくなかったなら、いつ咲くだろうか?風が吹いて散ってしまわないだろうか?とあれこれ気ぜわしく考えることもなく、春をのどかな気持ちで過ごせるだろうに・・・

本当にその通り。もうソワソワして、居ても立ってもいられず昨日のお花見に行ってきました。
地下鉄に乗り、九段下へ。この近辺は都内有数の桜の名所である千鳥ケ淵や靖国神社があります。
とにかく人ひとヒト・・・初詣並みの混雑でした。これは九段下駅を出た靖国通りです。この先の右は靖国神社、左は北の丸公園、まっすぐ行くと市ヶ谷駅です。

なぜここがこんなに混んでいるかというと、この場所から左を向くと、この絶景なんですよ。
お堀と桜。見事です。いやぁ、絶景かな、絶景かな。

まずは北の丸公園へ。田安門へ向かいます。門の前は桜のアーチができていました。

そして、門を入って振り返ると、まるで江戸時代にタイムスリップしたような錯覚にとらわれます。桜の色気にノックアウトです。

この人ごみの原因のもう一つはこれ。武道館で日大の入学式があったんです。希望に満ちた新入生も、桜に負けずキラキラ輝いていました。

ここでちょっと一休み。この画像を見てください。
環境省が立てた看板ですが、ん?「人を放さないでください」?この時期にはある意味正しいかもしれませんね。いたずらはいけませんが、これをやった人はなかなかのセンスの持ち主だと思われます。

お弁当を食べてビールを飲み、いい気分で散策しました。
これは、靖国神社内の能楽堂と、その右が東京の桜の標本木。この桜で東京の桜の開花が宣言されています。

ここまで来たら内堀通りの桜も見たくなって、もう少し足を伸ばしました。

この堀の向かいにはJR中央線が走っています。各駅停車と快速を同時に撮ってみました。


この時期にぴったりの山田流の曲をご紹介しましょう!
流祖山田検校作曲の「桜狩」という曲です。作詞は越前松平家の姫君で、松平定信のすすめで作曲されたと言われています。
のどかな春の日に憧れて桜見物に出かけ、一日花のもとで時を過ごし、日の入りを告げる入相の鐘の音に、帰る名残を惜しむという内容です。
とても豪華絢爛な雰囲気の曲で、大好きな曲の一つです。本当は今すぐにでもお聴きいただきたいのですが、それは不可能なので、歌詞と現代語訳をご紹介します。

『桜狩』歌詞
のどかなる、頃も如月おしなべて、見渡す山もうちけぶり、柳の糸の浅緑、春の錦か綾なくも、都に知らぬ白雲の、立てるやしるべ桜狩、人の心もあこがるる。
空を見捨てて越路には、待つらむものを行く雁の、かをる、かをる翅(つばさ)は雲に消え、声はあはれに聞こゆなり。
行方慕いて立ち止まり、名残はしばし忘れねど、初花車めぐる日の、轅(ながえ)連ねて見ずもあらず。
見もせぬ人や、花の友、知るも知らぬも花の蔭、相宿りして菅(すが)の根の、永き春日も徒(いたずら)に、日数過ごして花衣。
馴れし袂(たもと)も香(か)に染みて、野辺も山辺も花ゆえに、至らぬ隈はなけれども、山の、山の岩根をとめて落つる。
千筋百筋(ちすじももすじ)佐保姫(さおひめ)の、手引きの糸の滝なくば、手折りて行かむ、入相の鐘より先に春霞、立ちな隠しそ、風は吹くとも。


長閑な頃は春の二月で、世の中すべて、見渡す山も霞にけむり、柳の糸のように細い枝には新芽が吹いて浅緑に色づき、春の景色は綺麗な錦か綾である。なにかわからなく煙ったような都にたなびく白雲の桜をたよりに、あちらこちらから観桜にと出かける。人の心もうきうきして空を眺める。
それなのに、その楽しい空を見捨てて寒い越路をさして飛ぶ雁は、かの地に帰りを待つものがあろうからであるが、その翅は花の香りにかおって雲に消えて行き、その鳴声はあわれである。
その方向を慕って立ち止まり、名残はしばらく惜しまれて眺めるのである。初花で飾った車がめぐって花咲く頃になれば、花見車の轅が次々と連なってやって来る。
どこかで見たような人、全く見たことのない人等も花の友として、知人も無知の人も花の陰にともに宿りをして、長い春の日を何もしないで日を過ごす。
着馴れた花衣の袂も花の香に染まって、野辺も山辺も花ばかりで咲かないところがない。その山の岩を訪ねもとめて落ちる千筋百筋の春の女神の佐保姫が手で操る糸のような滝がなければ、枝を折って花を見ていない家人に持って行きたいが、滝のあちらの花は折りにくい。それに夕暮れを告げる鐘がなるより先に春霞が立って、花を見えなくしてくれるなよ、風は吹いても。


2 件のコメント:

  1. 先週、先々週とニッポン各地の花見の様子をwebなどで見てきました。
    まぁ写真と本物を見るのでは大違いですが、
    「あーあ、うらやましいなー」と思いつつ、結構春の雰囲気味わえました。やはり私もニッポン人なのです。
    こうした季節の移り変わりを感じて、それが曲の演奏に生かされていくのでしょうね☆

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  2. >atsukolinさん
    東京の桜はすっかり散ってしまいましたが、菜の花やチューリップ、パンジー・・・といった春の花が街を彩ってますよ!

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