2019年1月16日水曜日

歌会始、歌披講について

今日は歌会始でした。宮中での新年の行事の締めくくりだそうです。

中継をみましたが、悠久の時間の流れというか、おおらかな雰囲気。いいものです。そして、我々の日常の忙しなさ、時間の流れの速さ、余裕のなさを感じました。と同時に、カッコ良く言うと研究心も喚起されました。日本の伝統的な歌唱の発声法や発音の仕方をどのように教育するか、ということを研究して大学でも授業をしています。

ちょっと調べてみました。
司会役の読師(どくじ)が和歌の作者の名前を呼び、講師(こうじ)が節を付けずに読み、発声(はっせい)が第一句を節を付けて歌い、講頌(こうしょう)が第二句以降を節を付けて歌う。歌会始でのこの形式は歌披講(うたひこう)、または披講と言われています。この「披講」という言葉は、西暦960年に初めて出てきているそうです。

す、すごい。1000年以上前からある形式。
これも昨日の歌舞伎の話ではないですが、日本の伝統文化ですね。
今年見逃した方は、来年是非ご覧になって下さい。


講師の読みは、○○○○○--------------↑
というように、句の最後の文字を長く伸ばして、最後を少し上げています。
その後、発声と講頌によって節が付いて歌われます。楽譜にしてみようかと思ったのですが、楽譜になっているものがありました!

※画像は、平凡社の日本音楽大事典からの引用です。

1段目の独唱が発声の役目。
2段目が講頌の役目。
こぶし的なところが装飾音で書かれているところが面白いです。

一般の入選者、選者、召人、各皇族方は、この甲調で一回詠ぜられていました。


皇后さまは下の乙調で二回詠ぜられていました。

そして天皇陛下の御歌は甲調で三回詠ぜられていました。歌い出しの音程がそれぞれ違っていましたね。


これ、授業でやってみようかなぁ。ベルカント唱法ではできないぞ、これ。まさしく伝統的歌唱の発声!


旋律の他に気になったことを2つ。どなたか詳しい方、お教えください。
・歌として唄う時は、御園生(みそのう)であれば、「みそのお」、給う(たまう)であれば「たもお」と唄いますが、それぞれ「みそのう」「たまう」と言ってたのには何か意味があるのだろうか。
・鼻濁音は使わないのだろうか。



箏の歌詞は古語ですし、和歌が歌詞になっているものもあるので、比較的馴染みがありますが、実際に和歌は詠んだことがない。
ちょっとやってみたいなぁ、と思ってみたり!
和歌は詠めなくても、お題のイメージで作曲してみるっていうのもいいかも!
でも、やっぱり歌詞は欲しいな。



今年のお題は「光」でした。来年のお題は・・・
5月の皇太子さまの即位後に発表されるそうです。
そうか、昔は勅題(天皇が出すお題)と言われていたわけだから、今日は発表できないのか。
こういう改元がある「今年だけ」の事って、ちゃんと覚えておきたいですね。



それでは皆さまご機嫌よう。








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