2020年5月18日月曜日

【箏のこと】第四回 箏柱九兄弟

これがないと箏は音がでません。
そして箏の音程を決めるのもこれ。

箏柱 “ことじ”

家にある物がこちら。

色々種類がありますが、今日はとりあえず一番奥を長男で、一つ手前が長女。その手前に色の黒い次男、三男。さらに手前に四男五男。ちょっと小さい六男、七男。一番手前が一番小さい二女で九兄弟です。

まず、柱が立ってない箏をお見せします。

そして柱を立てるとこんな感じ。


この九兄弟で、一番よく働くのは五男です。身長は約6センチ。愛称は大柱(おおじ)くん。一般的に一面の箏に十二個使います。

箏柱はその時々で色々な姿に変身しておしゃれをするのですが、とびっきりの時は象牙に変身します。しかもとびっきり良い音を出してくれます。

これは鯨骨に変身したとき。

これはプラスチックに変身したとき。通常この姿のことが多いです。

次男と三男は今は表舞台に出てくることはないです。昔は大活躍だったのですがプラスチックに変身する五男以降が生まれて以降、お役御免になってしまいました。今は余生を静かに過ごしています。身長は四男、五男より少し低いです。昔の柱は今の柱より全体的に低めです。
特にこの次男は転ぶ(柱を倒してしまう)たびに、毎回首を骨折?脱臼?(頭の白い部分が外れる)して大変でした。これはティッシュを挟んでボンドで止められています(笑)



 そしてこれは四男です。身長は五男と同じ。愛称は巾柱(きんじ)くん。一番手前の巾の糸に使います。

なぜひっかかりがあるかと言うと、弾いた時に柱がズレないためです。
一番力のある親指で手前から奥(下の画像では左から右方向)に弾くわけですが、このひっかかりがあると柱に安定感が出ます。
箏に立てるとこんな感じになります。

ここからはある特殊な役割を担った子たちです。
ちょっとまとめてご紹介します。

まず長女です。愛称は雲雀柱(ひばりじ)ちゃん。長女ですが、比較的最近生まれました。

続いて六男。愛称は小柱(こじ)くん。身長は約5センチ。容姿は五男そっくりで、サイズが小さいだけです。※なので画像なし

こちら七男。愛称は三段小柱(さんだんこじ)くん。八岐大蛇(ヤマタノオロチ)ならぬ三岐小蛇(ミマタノコロチ)?
身長は六男と同じですが、三段階に変幻自在に身長を変えることが出来ます。一番上は約5センチ。真ん中は約4センチ。一番低い時は、次女と同じ身長で約3センチです。

そして次女。愛称はチビ柱(ちびじ)ちゃん。五男、六男とそっくりでサイズがちびっこいだけ。※よって画像はなし。

次女、六男、七男、次女はどのような時に活躍するか?というと、まずはこちらをご覧ください。
主に演奏する時に自分から見て一番奥の絃(壱)に使われます。上は五男の大柱くん。下は六男の小柱くん。


比較するとこんな感じ。白い長方形は大柱くんがいた場所。
六男のほうが背が低いので、より右側にいます。柱が低いし右(この画像で)に行くので、音は低くなります。これで半音くらい違います。

これが次女になると、もっと右へいき、さらに低い音にできます。
七男に参加してもらって「たけくらべ」です。一番右から1センチの違いで身長が高くなり、半音ずつ音が上がっていきます。


そして長女は、五男・六男・七男・次女の役割を一手に引き受けます。
溝に絃を入れ込むのですが、五段階の高さがあるので、微妙な音の調整ができるんです。
ただ音がイマイチ・・・。普通の柱は、柱本体と絃が接している部分がほぼ点なのですが、この雲雀柱ちゃんは面なので、柱本体と絃が接する面積が大きくなってしまうから。
でも便利なので重宝しています。

そして長男です。身長は約8.5センチ。ずば抜けでデカイです。
これは十七絃というデカイ楽器に使う柱です。愛称はまだない・・・

では十三絃の箏と十七絃ではどのくらい大きさが違うのか。

まず図体。十三絃の箏は、約180センチ(六尺)。この十七絃は195センチ。ただ一般的な十七絃は、この上に箏と同じように糸をぐるぐるする部分があるので210センチ(七尺)くらいです。

横から見ると・・・(横から撮られると体の厚みが丸わかりなので、私は苦手です)
右の十三絃の箏は約5センチ。左の十七絃は約9センチ

そして絃の太さ。右が十三絃の箏、左が十七絃。

これだけ大きさも、厚みも、絃の太さもビッグなので、低い音が出るのです。
ちょっと専門的になりますが、それぞれの楽器の平均的な音高を五線譜で表すと以下のようになります。
赤い□の部分が同音です。十七絃の真ん中の音が十三絃の一番低い音になる感じです。なので十七絃はかなり低音まで音が出ることが分かりますね。

では、九兄弟からお別れのご挨拶です。
今後ともご贔屓のほどよろしくお願い申し上げます。


それでは皆さまご機嫌よう。

【追記】
箏柱は次の二種類の幅のものがあります。左側の方の愛称は富士柱(ふじじ)くん、または幅広(はばひろ)くん。こちらのほうが安定します。箏は木目がごつごつしている部分があったりして、右側の柱だとガタガタする時があるのです。そういう時は富士柱だと安心です。















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